帰る理由はあったのに、帰らない理由を探す方が簡単だった。時計を見るたびに笑って、もう無理だねとどちらからともなく言ったあと、街の光を背にホテルへ入る。部屋の明かりは柔らかくて、さっきまでの外のざわつきが嘘みたいに遠のいていく。恋人未満の曖昧さがいちばん美しいのは、たぶんこういう夜なのだと思った。
帰る理由はあったのに、帰らない理由を探す方が簡単だった。時計を見るたびに笑って、もう無理だねとどちらからともなく言ったあと、街の光を背にホテルへ入る。部屋の明かりは柔らかくて、さっきまでの外のざわつきが嘘みたいに遠のいていく。恋人未満の曖昧さがいちばん美しいのは、たぶんこういう夜なのだと思った。